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2003年9月 4日 (木)

2003.08.31~09.01 カムイエクウチカウシ

Gps200308310901_3 地形図 札内川上流 

8月31日曇り一時雨
05:03かつらトンネル前(590)→06:48七の沢出合(680)→08:57~09:07八の沢出合(700)→10:41~10:57二股(900)→11:21三俣(1000)→13:30八の沢カール(1550)→14:17主稜(1700)→14:42主稜(1760)→15:50カムイエクウチカウシ(1979.4)
9月1日曇り後晴
06:01カムイエクウチカウシ(1979.4)→06:36主稜(1760)→07:11八の沢カール(1550)→08:44三股(1000)→10:51八の沢出合(700)→12:44七の沢出合(670)→14:55かつらトンネル前(590)

記録
 カムイエクウチカウシは去年ニペソツと天秤に掛けて難しすぎるという理由で落とした山だ。

今年の夏休みは北アルプスで決まりかけていたが、「野の花山の花北海道」でタイムリーな情報を見ているうちに急激にカムエクに行きたくなった。出発の1週 間前に代理店に予約し、熊スプレーとガスカートリッジを買いホテルに送ったのが水曜日、地形図が届いたのが金曜日、沢靴を買ったのが金曜日、そして土曜日 の飛行機に乗るという慌ただしい出発になった。
 ホテルは富良野を選んだ。八の沢が雨で増水したとき、大雪の旭岳を想定したためだ。子供にキスしてもらい富良野を出たのが30日の3時頃。十勝、芽室、 帯広、上札内を通り日高山脈山岳センターに18:30頃着いた。人の気配がなく青くなったが、チャイムを鳴らすと松原さんが出てきて泊めてくれた。①札内 ヒュッテで通行止めで本来の登山口まで2時間位歩く②水位は平常より少し高いという情報を得た。ハードな山行になりそうだったので持ってきた酒を松原さん に渡した。展望が見たかったので、テントを担いで山頂で日没とご来光の2回展望を待つことにした。パッキングをしていると20:00頃激しい縦揺れがあっ た。地震だと思うが、遺品などが展示してある建物なのでそのときは怖かった。沢靴一本に決め、服を少なめにして、食料は多めにし、熊スプレーを差し込んで 装備が決まった。GPSのログ取得モードは38秒に一回とした。これは20時間記録できるものだが、1時間足りなくなり、下りの七の沢出合で電源を切っ た。
 8月31日04:00起床、車を走らせると情報通り札内ヒュッテでゲートがしまっている。本来の登山口まで6キロか9キロだろう。05:03かつらトン ネル前(590)発、GPSのログが狂い山腹にマークが打たれた。最初のトンネルを過ぎ、次のトンネルが暗く長く黄泉路のような雰囲気だった。札内川沿い に北上していき夫恋トンネルを抜け、まだ北上する。1020mピークから派生する尾根で川が蛇行するところで06:14ゲート通過(660)。砂防ダムを 越え次の砂防ダムの前で06:39第三のゲート通過(680)。ほどなく06:48七の沢出合(680)。画像は下りのもので右手の疎林を抜け左手で渡渉 する。基本的に沢歩きなので登路は不明瞭だ。地形を大局的に頭に入れれば、河岸段丘に樹林帯の歩きやすい道があるのだが、最初は見過ごすことが多く時間が かかった。仲の沢出合まで来たところで、GPSで道形を表示し八の沢でないことを確認した。この先だったと思うがガイドの阿波さんとスライドした。時間短 縮のために樹林を積極的に使うようアドバイスを受け、以後意識して樹林を歩いた。明るい感じの林で、下生えもうるさくなく歩きやすかった。左岸を高巻いた 画像は下りのもので、登りは高巻に気づかず腿までの渡渉をした。
 右岸を歩いていき、樹林帯に入ると札内川本流が隠れ、枝沢の左岸にテン場跡が広がり、08:57~09:07八の沢出合(700)。大きな蕗の下生えが ある樹林帯をゆっくり登っていく。小雨が降り始め、本降りにならないかと心配だ。下りでは樹間から八の沢カールやピラミッド峰が見えたが、登りは上の方が ガスで不安だった。進むにつれ、次第に河原を歩くことが多くなった。やがて広い河原に出て前方の展望が開け10:41~10:57二股(900)。なおも 緩い河原を歩いていくと11:21三俣(1000)で前方に美しい滝が出た。ここからカールまでが核心部で本流の左岸を高巻き、水しぶきを浴びながら小さ な流れを登った。沢靴のフェルト底は岩に吸い付き歩きやすかった。登れない登路になるとまた左岸を高巻きへつって戻り、小さな流れを登ることを繰り返し た。三股からカールまでコースタイムの倍かかった。下りは気持ちよかったが登りは小雨でガスが降り心細かった。水音が急に小さくなり、カールの手前で八の 沢源頭の水を汲むと斜度が緩んだ。水音が消え、静かに歩いていくと13:30八の沢カール北東端に出た(1550)。下りでは展望に歓声を上げたが、登り は、視界10m位のガスだった。このようなとき熊が活動しやすいと聞いていたので、こわごわ歩いた。カールの北東端から南西に進んだ後、小さな丘を越える 感じで南に進むと福岡大の慰霊碑があった。この付近はテン場に使われるが、登りでは誰もおらず心細かった。不明瞭な道形に濃いガス、ヒグマの恐怖。けれど 花は登路の中で一番きれいだった。トリカブトやウメバチソウの咲く中を進み、カール壁を登ると、見た目よりも斜度がなかった。主稜に近づくと斜度が緩ん だ。エアリアではコイカク側の鞍部で主稜に出るように見えたので、コイカク側に進み14:17主稜に出た(1700)。しかし稜頂はハイマツに覆われカム エク側への道はなかった。カムエク側に戻り14:42主稜に出た(1760)。ここにテント一張り分のスペースがあった。ここから先は日高側からの風に悩 まされた。最初は稜頂の岩場を避けて日高側のハイマツに踏み跡が続いている。その登路にハイマツが覆い被さりズボンが濡れ熱を奪われた。ずぶぬれの沢靴も 風を受けいっそう冷たくなった。夏手袋でハイマツを払いのけると、水を含み、手先も冷たくなった。1750m位から1800m位まで斜度が緩み長く感じる 歩きが続いた。何より展望がないのがつらかった。最後の方は滑りやすい急登になり、足を曲げると太腿が攣りそうになった。限界は近づき、高度計も 1980mを指していた。ガスの中、右手にテン場一張り分のスペースがあり、上を見ると山頂だった。とても疲れていたが、風の中「カムイ」と呼び掛けなが ら登った。とても登りたかったので幸せだった。展望がなくても嬉しかった。15:50カムイエクウチカウシ(1979.4)。画像を見るとズタボロなのに 笑っている。僕は山の中で一番ここに来たかった。それだけで十分だ。
 幸せなときを過ごし、テン場に戻ると現実に引き戻された。手の力が弱まり、テントのポールが通せない。時間を掛けてやっと通した。下着を替えシュラフに 入り、ガスを使い永平寺ぜんざいを食べた。柔らかい甘味が体にしみた。続いてキムチ雑炊にゆで卵とししゃもを食べると元気になった。しばらくすると外で 「ブルルルルルカッカッ」という音がした。笛を吹くと気配は消えた。馬のいななきを低音にした感じだった。ヒグマだったと思う。人に会わないでいると自分 も動物のような気になってきた。そうしたら恐怖も薄らいだ。動物対動物なら怖くない。寝る前に携帯がつながり、フロントにかみさんに無事と伝えるよう頼ん だ。そしてぐっすり眠った。夜中にもう一回動物の気配を感じた。笛を吹くと「クォン」という犬のような声を出して逃げた。そして又寝た。4:00に起きて 飯を作りながら掲示板に書き込んだ。外に出ると登路に一つ熊の足跡があった。飯豊のおういんの逆峰で見たよりも細長くやや小さかった。山頂に登ると、十勝 の方にわずかに青空が見えるだけであとはガスだった。四方を向き家族と自分のために祈った。カールまで来るとガスが晴れた。ここから見下ろすカールは実に 美しく、既に紅葉が始まっていた。慰霊碑まで降りるとコイカクシュサツナイから来た人達がテントを張っていた。その人達がガスが晴れそうだといった。だが カムエクは最後まで姿を見せなかった。また展望を見に来ようと思ったり、このままで残しておこうと考えたりしながら降りた。
 ダイグラや大熊尾根の山行、GPSや沢靴といった装備、北海道の人からの情報がなければ自分には無理な山行だった。自分の全てを出した最高の山行だった。 20030904桃パパ



1pict0683 1pict0685  左8/31 10:35二股

 右    11:16三股




1pict0696  左 15:52絶対来たかった山頂。三角点地名は当時の測量誤りから札内岳となっている。

 右 9/1 06:49 ガスが晴れる



1pict0698 1pict0702  左 07:04水場付近 テントが見える

 右 07:20カール壁を見上げる。近くの大岩に、昭和49年の荼毘に付された人形がまだ黒く残っていた。



1pict0704 1pict0705  左 07:27昨日水音が消え、振り返った辺りの景色

 右 08:17高巻いて流れに戻る








1pict0706 1pict0707  左 08:23小さな流れを降りる


 右 08:27本流の左岸を巻く








1pict0708 1pict0709  左 10:02ピラミッド遠望

 右 10:12渡渉点






1pict0710 1pict0711  左 10:21八の沢カール

 右 11:21左岸を巻いた




1pict0714 1pict0715  左 11:32樹林帯

 右 12:35七の沢出合






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